高齢者の尊厳を大切にするためのヒント

介護の仕事をする上で大切なことと言えば、介護を必要とする高齢者の尊厳に配慮することです。年齢を重ね、多くの面で介助が必要になることが増えていくでしょう。また、病気や怪我などで体を思うように動かせず、介護が必要になる場合もあります。

介護士は高齢者の尊厳を傷つけないようにするべきですが、具体的にどのような行為や言動が尊厳を傷つけるのかは人によってさまざまです。グレーゾーンが広いため、人格を否定したり意味なく行動を制限したりという明確に尊厳を損なう行為や言動は注意できますが、あくまで表面的な対処となり、それだけでは不十分と言えます。

介護を提供する介護士側と介護を受ける高齢者側が互いに共通の認識を持って、しっかり配慮することが望ましいでしょう。しかし、現実的にはなかなか難しいものです。特に、仕事に忙殺されてしまうと知らず知らずのうちに相手の尊厳を傷つけていても気がつかないケースがあります。この点には注意が必要です。

尚、高齢者になると身体的な能力などさまざまな面で衰えを感じることが増えていきます。今まで難なく出来ていたことも手間取るようになっていく空しさは、やはり経験しないと分かりにくいものでしょう。また、誰にでも訪れる老いに葛藤し、自分の置かれている現状から尊厳が失われていくようだと感じる高齢者も少なくありません。頭では仕方ないと思っていても心が追いつかず、無意識の内に言動や行動が荒れてしまうことも多いものです。介護をする際は、そういった言葉にならない部分を汲み取り、気持ちの面で配慮をすることも鍵と言えます。