介護の現場で重視されることとは

若者であっても高齢者であっても、最期まで自分らしい人生を歩みたいという思いは誰しもが持っているといえます。たとえ高齢になって介護なしでは生活できなくなったとしても、きっとその思いは変わらないでしょう。一個人として周囲から尊重されることは、介護の現場で最も重要視されるべきものの1つです。在宅介護の重要性もそこからおのずと考えられるでしょう。

高齢者の多くは、要介護になっても住み慣れた我が家での暮らしを望んでいます。しかし介護度が進むにつれ自宅での介護や医療は難しく、自宅で最期を迎えたいという願いをかなえることは困難になるといわざるをえません。そのため在宅型介護と医療サービスの充実に加え、高齢者用ケアハウスなどの居住型ケアシステムの整備がこれからの大きな課題だといえます。

また、認知症に対して理解を深めることも、高齢者の尊厳の保持には重要なことになります。特に介護士として働く場合には、認知症ケアに関するより高い専門性が必要とされます。認知症の高齢者の視点に立って、その人個人のあり方を尊重するケアは虐待行為などの対極にあるものです。自由に活動でき、社会性のある環境で暮らせることが認知症ケアの理想であり、それに向けた自立支援を行うことが介護士の大切な役割になります。

高齢者の人権に配慮された多くの取り組みが実践されつつある中で、認知症のケアに関してはまだまだ明確でない部分も多く課題も山積しています。今後も介護士の研鑽と専門的知識の習得が強く求められています。高齢者の尊厳を守る介護を提供するためには、人としての尊厳を守る介護も合わせてチェックしてみましょう。